遷延性意識障害者が医療型障害児入所施設利用できる可能性について
信愛グループ 医療法人信愛会
社会福祉法人 明世会
理事長 大石明宣
先日、富山市での日本意識障害学会にて、お話させていただいた件ですが、まとめましたのでご報告します。
遷延性意識障害者が医療型障害児入所施設利用
できる可能性について
医療型障害児入所施設は本来、重症心身障害児のための施設ですが、遷延性意識障害者の方も一部利用可能です。具体的には、
- 発症が18歳未満の方は重症心身障害児の認定を受けているので入所(入院)医療型短期入所ともに利用可能
- 発症が18歳以上、現在40歳未満の方は下記の基準により、気管切開を伴う人工呼吸器を装着している方は市町村が支給決定すれば入所(入院)可能
- 発症が18歳以上、現在40歳未満で遷延性意識障害者の基準を満たす方は医療型短期入所のみ利用可能
- 現在40歳以上の方で下記の特定疾病に当てはまる方は介護保険優先の原則があり市町村が支給決定しないと思われるので利用不可能
- 現在40歳以上65歳未満の方で下記の特定疾病に当てはまらない方は市町村が支給決定すれば医療型短期入所のみ利用可能
- 65歳以上の方は介護保険優先の原則があり市町村が支給決定しないと思われるので利用不可能
ただし、全国の医療障害児型入所施設(重症心身障害児施設)のほとんどは遷延性意識障害者の受け入れをしていません。その理由は、ほとんどの施設は成人になった患者でも小児科医が診療しているからです。各科の医師が週に1回でも非常勤医師として診療すれば重症心身障害児だけでなく、受け入れる可能性がありますし、重症心身障害者のケアもよくなると思われます。遷延性意識障害者を受け入れるためには特に脳神経外科・神経内科・整形外科等の医師が必要となります。
今年7月に開設した私がセンター長を務める信愛医療療育センターでも遷延性意識障害者の受け入れを行いたいのですが、実際には常勤医は私(元消化器外科)と小児科医の副センター長のみで脳神経外科・神経内科・整形外科の医師はいません。
医療型障害児入所施設の利用基準
『療養介護』
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者等気管切開を伴う人工呼吸器による呼吸管理を行なっている者であって、障害支援区分が区分6の者
- 筋ジストロフィー患者又は重症心身障害者であって障害支援区分が区分5以上の者
- 旧重症心身障害児施設に入所した者又は指定医療機関に入院した者であって、平成24年度4月1日以降指定療養介護事業所を利用する①及び②以外の者
『医療型短期入所』
- 遷延性意識障害児・者
- 筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を有する者
- 総合支援法に定められる難病のうち常時医学的管理を必要とする方
- 重症心身障害児・者
- 療養介護の①、②に該当する者
上記のいずれかに該当があり、市の支給決定が受けられる方
第2号被保険者の特定疾病
40歳から64歳まで(2号被保険者)の方が介護保険サービスを利用できるのは、老化に起因して発症した下記1~16までの「特定疾病」が原因となって、介護が必要であると認定された場合に限ります。
特定疾病以外の原因で介護が必要になった場合は、介護保険の対象にはなりませんので、ご注意ください。
特定疾病の種類
- 末期がん(医師が、一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの)
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- 多系統萎縮症
- 初老期における認知症
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患(外傷性を除く)
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
- 閉塞性動脈硬化症
- 関節リウマチ
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症