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  • むせ込みが強く、気切孔から泡沫~水様の痰の流出が多くみられます、原因や改善策があれば教えて下さい。
  • むせ込みが強く、気切孔から泡沫~水様の痰の流出が多くみられます、原因や改善策があれば教えて下さい。

    ■Question

    ケアホ-ムに勤務している看護師です。入所中の36歳の男性の気道管理について質問します。この男性は、気切孔はありますが、カニュ-レは挿入されていません。夕方~就寝前(寝付くまで)、夜中(1~3時頃)に、むせ込みが強く、気切孔から泡沫~水様の痰の流出が多くみられます(日中もむせ込むことはありますが、すぐに落ち着きます。)

    食事や口腔ケアとの関係を考え、2ヶ月程、たんの量とケア時間等を比較しましたが、AMケアの後の増加がないこと、朝、昼食后の増加がないため関係性ははっきりしません。(次は活動量との比較を考えています。) 現在は吸引や皮膚の清潔保持、また、体交や排痰法をおこなうこと、頸部の角度などに注意しています。医療の視点から、原因や改善策があれば教えていただきたいと思います。また、看護介護の面から良い対応があればアドバイスをお願いします。

    ■Answer

    相談票の内容からは、日常の患者さんのADLは詳しく読み取れませんが、気切孔は開存で経管栄養とのことですが、経管は鼻導でしょうか、PEGでしょうか。また、日中に車椅子を使用したり座位で過ごしたりする時間はどのくらいあるのでしょうか。このような条件で回答の内容は少し違って来ますが、仮に、経管はPEGで昼間には座位をとる時間がある程度あると仮定してお答えします。

    「日中はむせることもあるがすぐに落ち着きます」との記載から覚醒時にはむせ反射によ

    り排痰がおこり、自力で気道をクリアにできる能力があると判断します。比較的若い(36歳)の男性ですから、呼吸筋の筋力はある程度あると思います。食事をや口腔ケアと痰の量はあまり関係がないようですが、このことから食事や口腔ケアをすると一時的に唾液の分泌は多くなっても痰の量はあまり変化がないことが判ります。多分、覚醒時は無意識に嚥下反射で口腔内に分泌された唾液を嚥下していると思われます。覚醒時に無意識の嚥下運動がみられるでしょうか?これが見られれば、覚醒時は正常に唾液の嚥下が行われ、気管に流入することがないので、むせは少ないと思います。特に、座位の場合は唾液が口腔内に貯留することがなく重力で喉頭の方に落ち込むので嚥下反射が誘発され無意識の嚥下が起きやすいと思います。むせに関する反射運動では、嚥下反射とむせ反射が問題になります。睡眠に入ると、一般的にすべての反射は減弱します。もちろん、嚥下反射もむせ反射も減弱します。臥位をとると、口腔内に唾液が貯留します。重力により喉頭の方に落ちることもなくなるので,ある程度の量が口腔内に貯留しても睡眠中などで、嚥下反射が起こらない場合は、唾液が気管に流れ込みむせ反射も起こらなければ不顕性誤嚥となり肺炎の原因になりますが、ここでむせ反射が起これば、強い筋肉運動により覚醒が起こり、流れ込んだ唾液がクリアされるまで、むせ反射を繰り返すことになります。臥位において筋力が比較的強い患者にむせ反射が起こると、同時に腹筋が収縮することで上半身の屈曲が起こり、その結果頸部が進展して後頭部がベッドについていて顎がつきだしたような姿勢になります。この姿勢がさらに口腔内の唾液を気管に流入しやすい状態を作り、むせを繰り返す場合もあります。痰の性状は泡沫から水様とのことですから、このケ-スではやはり唾液の誤嚥によりむせが起こっている可能性が高いと考えます。

    以上のようなことから、対策としては夕方から就寝、あるいは睡眠中で臥位をとっている時に口腔内に唾液が貯留することを避けることが必要です。側臥位をとり下になった口角から自然に唾液が口腔外に流出するような体位をとるか、口腔内に持続吸引を置く方法が考えられます。吸引圧は弱くして口腔粘膜を吸い付けて損傷することのないようにする必要があります。ビュ-ロ-のように重力による陰圧を利用してのドレインが実際的と考えます。口腔内の持続吸引にはそのような目的に使用可能なピッグテイルカテ-テルが市販されています。ただし、このカテ-テルは意識の良い人の場合は違和感があるかも知れません。

    42度の体温上昇があり、入院を必要としたエピソ-ドは別の原因かも知れません。熱産生の基となるエネルギ-源はもちろん食事ですから、筋緊張が低下してくると必要カロリ-は少なくなるので、経管栄養などで正確に同じカロリ-摂取を続けている場合には体重の増加が見られ、これも一つの指標となります。

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